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セキュリティコラム

セキュリティコラム:詳細

大川小学校判決が我々につきつける問題

2016年11月18日

26日、東日本大震災の津波で児童74人、教職員10名が犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校の児童23人の遺族が県と市を相手取り損害賠償を求めていた訴訟で、仙台地方裁判所は原告の訴えを認めた。誠に痛ましい事故で、私もボランティアで石巻に行った際大川小学校を訪れたが、津波の破壊力の凄まじさに呆然とするのみであった。あらためて亡くなられた皆さんのご冥福を祈りたい。なお今回の判決は、裁判所が県及び市に対して、津波来襲の予見及び被害を最小限に食い止める結果回避義務違反があったと認めた内容である。

1000年に1度の大震災。勿論これは後で判った事ではあるけれど、震源地に近い石巻では異常な揺れがあった筈だ。また教職員はラジオやスマフォで情報収集していた筈で、加えて広報車が沿岸の松林を津波が抜けてきたことを警告している。つまり普段の想定範囲を超える危機的な状況が襲ってきたことは判断できた筈だ。そして対策として何を選択するか。高くなった交差点付近なのか裏山なのか。交差点へは舗装道、一方裏山は生徒の混乱、あるいはケガ等の2次的な被害発生のリスクも想定される。

この様な想定外の事態に如何に行動するかが重要だが、それはマニュアルには書かれておらず、全く個人の判断によるものになるのではないかと思う。従ってマニュアル完備、日ごろからの訓練は当然として、それに加えて想定外の事態に対処するための判断力や行動力の養成が必要ではないかと思う。そしてこの柔軟な判断や行動は、日本人が非常に苦手とする点ではないかと思うのは私だけであろうか。

筆者紹介

サイバーセキュリティコラム筆者 岸田明コラム筆者 岸田明

岸田 明(きしだ あきら)

KMSコンサルティング代表。
大手IT企業や参議院事務局など、第一線でサイバーセキュリティ対策に携わってきたこの道のエキスパート。 2016年3月よりキューアンドエーワークス株式会社の顧問に就任。