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セキュリティコラム

セキュリティコラム:詳細

新たに公開されたスノーデンファイル

2017年05月08日

NHKの「クローズアップ現代」は、「やらせ」の問題等行き過ぎの面を指摘された事もあったが、良質のジャーナリズムである事は確かだろう。このクローズアップ現代は番組改編により夜10時からの放送になり、また番組の看板である国谷裕子キャスターが降板した事もあり見る機会が減ってしまった。そのクローズアップ現代で、サイバーセキュリティを生業とする者として、非常に重要と思う放送が4月末にあった。

1回目は4月24日放送、クローズアップ現代+の「アメリカに監視される日本~スノーデン“未公開ファイル”の衝撃~」、2回目が27日「プライバシーか?セキュリティか?~スノーデン“日本ファイル”の衝撃~」で、これは新たに公開されたスノーデンファイルの日本に関する13の文章に関するものだ。この番組によればポイントは三つあって、第1:「アメリカが諜報活動に日本を利用?」、第2:「アメリカが日本を監視対象に?」、第3:「“大量監視プログラム”が日本に提供?」である。特にこの第3番目は重要で2回目の放送がこれを扱っている。

番組によれば、米国は全世界500ヶ所に傍受ポイントをもち、それをプリズムと言う収集システムを通して集約しメタデータとし、それをスパイのためのGoogleと呼ばれているXKEYSCOREと言うプログラムを用いて監視しているとの事だ。そしてこのXKEYSCOREが日本に2013年に提供されたとスノーデファイルに記載されているとしている。XKEYSCOREを用いれば、検索者の意思によりメタデータから監視対象のあらゆる情報の抽出が可能となる。プライバシーとセキュリティの問題は民主国家において最も重要なテーマで、そのバランスに関しては常に議論が必要だろう。番組のコメンテータも、日本が平和国家として世界で生き抜いて行くには諜報活動が必須だが、この問題は日本国民全体の問題であり、国会での議論、そして国会の監視が必要だと異口同音に言っていた。

注:
4月24日のダイジェスト https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3965/
4月27日のダイジェスト https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3968/

筆者紹介

サイバーセキュリティコラム筆者 岸田明コラム筆者 岸田明

岸田 明(きしだ あきら)

KMSコンサルティング代表。
大手IT企業や参議院事務局など、第一線でサイバーセキュリティ対策に携わってきたこの道のエキスパート。 2016年3月よりキューアンドエーワークス株式会社の顧問に就任。